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紹介記事 2002年3月


  (東京都トラック協会 壮年部 機関紙「ひびき 2002年3月20日 No.90」より)
 壮年経営者研修見学会報告
 「パートを戦力化したユニークな経営手腕」

千代田支部 丸天運送(株) 平岡 祐介

成功のための三つの要因

  2月21日、参加者22名は、バスで相模原にある(株)スーパーレックス社へ向かった。この会社の株式の51%を保有するのが、今わが国で最も注目されている躍進著しい物流企業 (株)ハマキョウレックス(本社:浜松市)である。当社が何故注目されているのか?創業者である大須賀正孝社長は、昭和16年生まれで学歴は中卒である。会社設立は昭和39年、現在は二部上場企業となっている。

  会議室でわざわざ浜松の本社から来られた大須賀社長の話を聴く。大須賀社長は言う。
「トラック運送業は真っ暗闇だ。しかし、当社の物流業は夜明けを迎えている。業務内容は、物流センターを拠点として保管・流通加工・配送・情報システムの各機能を有機的に連動させて、流通業を実現している。競合他社との差別化は、顧客の問題点の見つけ方と改善のための提案能力である。改善はエンドレスである。従って仕事はいくらでもあると認識している。ただし、取引において一社依存度が高ければ力関係で弱くなり、運賃値下げをコストダウンと考える荷主に負ける。荷主一社あたりからの収益は、全体の10%以下に抑える必要がある。本来のコストダウンは運賃を下げることではなく、出荷体制をはじめ仕事のやり方を改善することによるトータルコストダウンであるべきだ。」

  (株)スーパーレックスも当初は大須賀氏が社長を務めていた。今も事実上の経営トップとみられる。相模原の広大な敷地には、巨大な物流センターが偉容を誇る。1日に500台ものトラックが昼夜を分かたず動くという。
私の目から見た成功の要因は3つある。
(1) ハイテクを駆使した装備力に優れたインテリジェント物流センターであること
(2) パート従業員がヒューマンタッチにより徹底的に戦力になっていること
(3) 言わずもがな、大須賀社長が卓越した経営者であること。

戦力化されたパート

  パートについては極めて独創的である。他社の追随を許さないものがある。同センターの人的構成はパート85%に対し、正社員はわずか15%である。この企業秘密とも言える、パート戦力化の経営ノウハウを、大須賀社長は我々の前で、直接に熱っぽく1時間語ってくれた。
その要旨は、
*物流の最後の工程は人がやるので、人の収支をキチンとすること。企業経営はこれしかないと思う。
*適正人員の配置にしてムダを無くす。
*パートの生産性を日々把握する。
*パートを社員と同じレベルの能力にする。しかも賃金は社員の3分の1である。
*パートを戦力化するために採用したのが、「日替わり班長制」である。パートも班長となり、正社員もこの下で働く。
*班長は全ての仕事の段取りを知らなければいけない。
*パートも会議に出席させて情報を共有化する。
*優秀といわれる社員ほど、実は自分で仕事を抱え込む。
*仕事は誰にでも出来るようにする。皆がやれば皆の知恵が入るようになる。そのためには仕事を易しくする。
*物流センターは、正社員が1人もいなくても1週間は動くようにしないとダメだ。
*パートだけで運営できれば日本一になる。どこにも負けない会社になれる。
*正社員の役割は、やり易い環境を作ること。
*パートは班ごとに表彰する。主婦ならご主人も招く。
*日頃、主婦パートは班長を務めるのでご主人に相談する。そのため、ご主人は当社を熟知されており、一流企業に勤めて得たノウハウを投入してくれる。

コスト意識を持たせる

*朝礼は無意味なのでやらない。終礼で生産性とコストを発表することが重要。
*パート、正社員を威圧的に頭から押さえつけず、自主性を発揮させる。
*コスト意識を持たせることに成功すれば、生産性は30%上がる。
*今日のお客様は明日のお客様ではない、と常に緊張感を全員が持つようにしている。
*失敗にはペナルティーを課さない。しかし、その原因を記録に残し、同じ失敗を繰り返さないようにする。ペナルティーを与えると失敗を隠すようになる。隠した場合こそ、最大のペナルティーを与える。
*会社の中にエースは要らない。全員でやるようにする。
*現場が良ければお客は逃げない。新規客を取っても欠けるお客があれば会社は伸びない。

物流は現状維持でなく、進化させるもの

*社員には自信を持たせる。自信を失うとオタオタする。自信は全ての基本だ。
*営業も新規客先が取れないと自信をなくす。だから、何回でも断わられるために行きなさいと指導している。
*会議は大勢でやると一方通行になる。小集団が良い。ビデオを撮っておき成長度合いをお互いに確認する。
*事故は、本人が自覚しない限り無くならない。「あなたみたいに運転がうまい人がなぜ事故を起こしたの?」と聞く。
*物を動かす物流には特別な知識は必要としない。やろうと思えばできる。
*やる気のある人に挑戦する機会を与える。
*運送・倉庫の経験が5年とか10年あるという人は採用しない。全部断わる。経験のある人は新しいことにブレーキを踏む。これでは新しい物流を築いていけない。物流は現状維持ではなく、進化させる必要があるのだから。そのためには色々な業種の経験がある人達の集団にすべきだ。
*改善提案はお客様以上にお客様の仕事を知らなければできない。

  ※いくつかの質問が出たが、最後に静ト協副会長として、運送業をどう見ているかと尋ねると、「規模の格差がひどすぎる業界だ。5台免許なので間接費のかからないこの規模の業者は、下請けとして生き残れる。大と小が存続し中が消滅しないかと心配している。」との答えが返ってきた。
  優れた社長に率いられた(株)ハマキョウレックスのビジネスモデルは、我が国のみならずアジアや欧米にも通用するのではないかとさえ感じた。

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